ふたば俱楽部 代表:嶋津さと子さん
地域のキーマンインタビュー第4話は、阪南市でクラフトバンド教室とモルック活動を通じて地域コミュニティの活性化に取り組む「ふたば俱楽部」代表の嶋津さと子さんにお話を伺いました。
仏壇店を営みながら、しかもまったく異なる二つの分野で精力的に活動する嶋津さんは、幅広い世代が交流できる“場づくり”のスペシャリスト。温かな人柄と包容力で、多くの人々に新しい楽しみと出会いを提供し続けています。
今回は、活動のきっかけから地域での広がりまで、嶋津さんの多彩な取り組みをお届けします。
活動のきっかけ

クラフトバンドとの出会い
クラフトバンドを始めたきっかけは、店を訪れたお客様との何気ない会話でした。
「籠を作って来られたお客様に“自分でも作ってみたら?”と言われ、一緒に始めたのが最初なんです」
当初は純粋な趣味として楽しんでいましたが、周囲から「教えてほしい」という声が相次ぎます。「教えてくれと言われた以上、きちんと教えなあかん」と責任を感じ、講師資格を取得。本格的な指導をスタートさせました。
クラフトバンド教室の運営
現在、LINEグループには約50名が登録し、週3〜4日のペースで教室を開催しています。
「お店の仕事をしながらなので“ガチッとした”教室ではなく、参加できるメンバー同士でLINE上で日程を調整しています。お客様が来られたら私は店に戻る…そんな柔軟なスタイルです」
参加者同士がスケジュールを調整し合う“自主運営”が大きな特徴で、理解と協力を得ながら活動を継続しています。
モルックとの出会い

一方、モルック活動のきっかけは、社会貢献に熱心なご主人の思いからでした。バリアフリー協会で活動するご主人が「ハンディのある人でも楽しめるスポーツはないか」と探していた際、フィンランド発祥のモルックに出会います。
「『木の棒を投げて何が楽しいの?』と最初は懐疑的でしたが、大阪市内の団体を訪れて体験すると“これは面白い!”と一気にハマりました」
モルック活動の展開
モルック活動では主に地域交流会場で活動し、月1回は泉南防災センターを利用して、より多くの人が参加できる機会を設けています。モルックの最大の魅力は、その包容性にあります。
「小学生から80歳まで、親子3世代でも同じチームで投げられる。真のユニバーサルスポーツです」
ルールは「ちょうど50点でフィニッシュ」とシンプルながら、駆け引きが生まれる奥深さも。「初めは手探りで楽しんでいましたが、続けるうちに“もっと上手くなりたい”と自然に向上心が湧いてくるんです」
活動への想い

嶋津さんの根底にあるのは、地域コミュニティへの深い愛情です。
モルックへの思い
「どこの地域にも公園はある。道具さえ持ち寄れば誰でも楽しめるし、60代のご夫婦が一緒に体験会へ来て、そのまま夫婦で練習を続けている例もあります。世代を超えた交流が自然に生まれるのが魅力ですね」
クラフトバンド教室への思い
“教える”責任を持ちながらも、参加者との温かな関係性を大切にしていると言います。
モルックは自治会からも注目され、地域全体へと活動が広がりつつあります。クラフトバンドとモルック、一見異なる二つの活動ですが、どちらも「人と人をつなぐ場」を提供するという点で共通しています。
仏壇店という伝統的な商売と、革新的なコミュニティ活動を両立させる嶋津さんの姿勢は、地域活性化の新しいモデルケースとして注目されています。